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図解 事業年度終了届出書の見方
おはようございます!ペンキ書士アダチです。
建設業許可業者のみなさま!
許可取得後に毎年届出義務のある「事業年度終了届」。
これ作成後に内容を確認されていますか?
事業年度終了届出書は文字数字ばかりで図や絵がないため、あまり見る気が起きないかもしれませんね!?
弊所のお客様にも決算書など数字が苦手という方も多くいらっしゃったので、今回はこれを簡単な図式にしてみました。
参考になさってください。
そもそも事業年度終了届とは何だ?
許可行政庁に1年間の実績を報告
建設業許可業者は毎期決算が終了したら、決算日から4カ月以内に事業年度終了届を許可行政庁へ提出しなければなりません。
建設業法上、1年以上の営業休止は許可取消処分となっているので、営業実態を把握するために行っています。
ただ正直決算日から4カ月を過ぎたからといって直ぐに何か処分がある訳ではありません。
が、遅れて提出すると終了届の表紙に赤いハンコで「4カ月以内に提出してください」と押されます。
あまり気持ちのいいものではありません。
工事経歴、工事売上げの比重、決算内容
事業年度終了届の中身はというと、
- 1年間に行った工事の実績
- 発注者ごとの売上割合(公共工事、民間工事元請、下請工事)
- 決算内容
が主となっています。
ここで気を付けないといけないのが工事経歴書に工事の実績を振り分ける作業。
最近もご相談であったのですが、電気工事業の許可を持つ業者さんが新たに電気通信工事業を取得したいという話。
電気通信工事業に関わってくる資格をお持ちではなかったので、専任技術者証明は実務経験10年パターン。
そこで、今までの事業年度終了届を見せていただき工事経歴書を確認しました。
許可を取っていない業種は「その他工事」に振り分けられるのですが、そこに電気通信工事業の実績はゼロ。
お客様「多分電気通信工事業に該当するだろう工事も全部電気工事業に入れて今までやってきた。」
ペンキ書士「では実務経験を積むなら今から実績を積んでいくしかないですね・・・」
振分けをしっかり行っていればここで電気通信業の実務経験が稼げたはず。
こんなこともあるので、めんどくさくても工事の振分けはしっかりやっておきましょう。
窓口で閲覧対象
事業年度終了届に限らず、建設業許可申請書なども許可行政庁の窓口へ行けば誰でも閲覧することができます。
ということは、あなたの会社の事業年度終了届。
取引先?下請会社?材料仕入先?
誰かに見られているかもしれません。
期限が過ぎての提出、内容がいい加減なモノ。
こんなところで会社の評価を落とさないでほしいです。
税理士が作ってくれた決算書と数字が少し違うけど・・・
兼業事業って何?
こちらご覧ください。
事業年度終了届の中にある損益計算書の例。
税理士が作ってくれる決算書と勘定科目が少し違うと思います。
これは建設業という独特な業界に適した決算書で、他の産業の経理とはかなり違ってくるため。
例えば1年以上にわたる工事の決算処理や、独特な原価計算方法。
普通の商業簿記では対応できない業界なのです。
この中にある「兼業事業売上」。
同じ会社内でも建設業以外の商売をしている場合は多くあります。
他にも、他の会社へ応援に行った際の売上は請負工事には当たらないし、工事でなく機械のメンテナンスなども建設工事ではないのでこちらの兼業事業に該当します。
特に経営事項審査の場合はこの作業が結構大変。
適当に振分けして経営状況分析を行う分析センターから問い合わせが来て手直しなんてなったら大変。
しっかり作業します。
職人さんと事務員さんの給料は振分けが違う
従業員に支払う給料も振分けしなければいけません。
現場に入って工事を完成させる職人に支払う給料は「完成工事原価の中の労務費」
しかし会社内で事務や経理をしている従業員さんは「一般管理費の中の従業員給料手当」
決算書などを調べて振り分けていきます。
減価償却費もモノによって振分けが違ってくる
ペンキ書士「ここまで来たら何となく分かってきましたか?
現場で使う工具や重機などの減価償却費はどこに振り分ける?」
お客様「分かった!現場での費用だから完成工事原価だ!」
ペンキ書士「その通り!完成工事原価の中の経費に該当します。」
振り分ける作業が結構大変ですが、ここをしっかり行うと今後の事業で色々役に立ってくると思います。
例えば
- 工事金額を設定するのに原価率をしっかり意識することができる。
- 職人を雇った方がいいのか、外注で済ませた方がいいのか今後の戦略を考えやすくなる。
下はこれまでの説明を簡単な図に表したもので、実際に弊所がお客様にお渡ししているものです。
普段行う工事でも、このように数字を図式化してイメージできれば利益も明確にできると思います。
また、決算書から他の分析をすることもできるのですがそれはまた他のときに記事にします。
最後までお読みいただきありがとうございました、今日も一日ご安全に!
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