主任技術者と監理技術者。それに専任技術者って紛らわしすぎ(怒)

おはようございます!ペンキ書士アダチです。
以前、建設業許可の要件の一つ「専任技術者」についてお話したことがあります。

「専任技術者」についてもう一度確認したいという方は建設業許可における専任技術者とは?簡単になれるのか?をご確認ください。

今回は似たような名前だけど違った役割の「主任技術者」「監理技術者」についてお話しします。

イメージしにくい場合は、3.まとめ 現場の技術者と営業所の技術者の図からご覧ください。

一体どれだけの技術者が必要なんだ?

工事現場に配置する技術者

建設業許可業者が建設工事を行う際には、技術上の管理をつかさどる者として「主任技術者」をすべての現場に配置しなければなりません。

また、元請工事1件当たりの、下請業者へ税込4000万円以上(建築一式工事は6000万円以上)の額を発注する場合は、主任技術者でなく「監理技術者」を配置しなければいけません。
この場合は一般許可でなく特定許可が必要です。

主任技術者監理技術者
・建設工事の技術上の管理をつかさどる。
・元請下請を問わず必ず現場に配置。
・一般建設業許可の専任技術者になれる者が主任技術者になることができる。
元請工事のうち、合計4000万円以上を下請けに発注する場合は「監理技術者」を配置。
・1級資格保持者で監理技術者講習を修了した者。

監理技術者証

現場専任が求められる工事

「公共性のある施設もしくは工作物または多数の者が利用する施設もしくは工作物の工事」
の内、1件の請負金額が税込み3500万円以上(建築一式工事は7000万円以上)となる工事については主任技術者または監理技術者を現場ごとに専任で配置しなければなりません。

Q.「公共性のある施設もしくは工作物または多数の者が利用する施設もしくは工作物の工事」ってどんな工事?

A.なんか難しい言い回しだけど、要は個人住宅の工事を除くほとんどの工事と思ってもらえればいいです。

現場の専任性には元請下請関係ないので、元請会社の監理技術者だけでなく1次下請以降の会社も主任技術者を配置しなければならない場合があります。

「専任」というだけあって、一人の主任技術者が他の現場を兼任することは基本認められていません。
やはり、その現場に入っている技術の責任者がコロコロ入れ替わると、施工方法・段取りがぐちゃぐちゃになってしまったり、責任の所在が分からなくなるなどトラブルのもとになるからです。

主任技術者 監理技術者
資格要件 一般建設業許可の専任技術者要件と一緒(2級資格者、実務経験) 特定許可の専任技術者になれる資格者(原則1級資格者)かつ監理技術者講習修了者
元請工事1件当たりの下請への発注額 税込4000万円未満(建築一式工事は6000万円未満) 税込4000万円以上(建築一式工事は6000万円以上)
専任配置の条件 ・個人住宅の工事を除くほとんどの工事
・請負金額税込3500万円以上(建築一式工事は7000万円以上)の工事
資格証の携帯及び提示義務 該当なし 公共工事で監理技術者を専任で配置すべき工事の場合

主任技術者における専任性の緩和

主任技術者の現場専任性の緩和条件

先ほど、1件の請負金額が税込み3500万円以上(建築一式工事は7000万円以上)となる工事については主任技術者の配置が必要だというお話をしました。

しかし2011年の東日本大震災の復興事業において、監理技術者・主任技術者の不足が深刻化しました。
それに対応するため、まずは被災地から、その後は全国的に職人不足となってきたため全国的に緩和措置が取られるようになりました。

ただし、監理技術者については緩和措置はありません。

主任技術者の現場専任性の緩和条件(すべてに該当すること)
1.工事の対象となる工作物に一体性もしくは連続性が認められる工事、または施工にあたり相互に調整を要する工事
2.現場のお互いの感覚が10Km 程度の近接した場所に置いて同一の建設業者が施工する工事
3.主任技術者が管理することができる工事の数は、専任が必要な工事を含む場合は原則2件程度
4.監理技術者を配置すべき工事ではないこと
5.発注者は、個々の工事の難易度や現場相互の距離などの条件を踏まえて、各工事の適正な施工に遺漏なきように適切に判断すること

技術者の配置

建築一式工事の場合の技術者の配置と説明です。

技術者の配置

まとめ 現場の技術者と営業所の技術者

建設業法に定められる技術者について、許可要件である営業所の「専任技術者」と、現場ごとに配置が義務付けられている「主任技術者監理技術者」が紛らわしすぎるので表にしてみました。

専任技術者 主任技術者 監理技術者

表で比べることである程度はイメージしやすくなったのではないかと思います。
しかしこの制度を考えた方は、制度もネーミングももう少し区別しやすく分かりやすいモノにできなかったのだろうかといつも思います。

以前許可窓口でこんな質問をしたことがあります。

ペンキ書士「一人親方でも要件満たせば建設業許可は取れるよね。
事務所の専任技術者が、事務所から○○Km以内の現場なら例外で主任技術者を兼任できるのは分かります。(ココの判断は県や担当者によってマチマチ)
でも出張とかになったらどうするの?営業所に専任技術者がいなくなるわけだし・・・」

「あと、特定許可も事務所の専任技術者が要件満たせば許可取れるけど、4000万円以上の元請工事を請け負うことになって専任技術者以外の技術者がいなかったらどうするの?
下請業者に一括下請負は禁止だし。」

窓口担当者「う・・・う~~~ん(;’∀’)」

となってしまいました。

ペンキ書士的には、「専任技術者」の営業所専任は必要ないんじゃないかと思います。
上記の私の質問のことなんて日常茶飯事で行われて制度的にも形骸化しているし、かえってややこしく建設業者さんも困るだけだと考えています。

現在建設業許可などについて電子申請化が検討されていますが、この辺の制度の見直しも同時に行って分かりやすく親しみやすい制度に変わっていってほしいですね!

最後までお読みいただきありがとうございました、今日も一日ご安全に!

コメント

    • 高木 繁
    • 2022年 4月 03日

    配置技術者ですが
    仕事を紹介ください。

      • office169
      • 2022年 4月 08日

      コメントありがとうございます。
      厚生労働省により認められた事業者しか職業紹介事業はできないので、申し訳ありませんが弊所ではご紹介できかねます。
      ご了承ください。

    • 友久
    • 2022年 4月 13日

    教えてください。
    例えば自分の会社が元請で請負金額1億の仕事でも下請に出す下請請負金額が6000万未満(建築一式)ならば主任技術者の配置で良いのですか?

      • office169
      • 2022年 4月 16日

      ご質問ありがとうございます。
      お考えのとおりです。以下建設業法の条文になります。
      第二十六条 建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し「主任技術者」を置かなければならない。
      2 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者「監理技術者」を置かなければならない。

    • 友久
    • 2022年 5月 19日

    上で教えて頂いたものです。ありがとうございます。
    再度質問を2つお願い致します。

    例えば公共工事で学校の教室改修工事が元請金額6500万円の場合

    ①この工事は”建築一式工事”なのでしょうか?主任技術者・監理技術者の設置に出てくる”建築一式工事”は何を指すのでしょうか?
    ②もしこの工事が建築一式工事であれば主任技術者の設置で良いと思いますが、2級施工管理技士でもこの主任技術者になれますか?
     2級施工管理技士だと主任技術者になれても請負金額の上限等あるのですか?
    よろしくお願いいたします。

      • office169
      • 2022年 5月 24日

      ①この工事は”建築一式工事”なのでしょうか?主任技術者・監理技術者の設置に出てくる”建築一式工事”は何を指すのでしょうか?
      ⇒この工事は「内装仕上工事業」になるかと思います。「建築一式工事」は国交省告示によると「総合的な企画、指導、調整の元に建築物を建設する工事」となっています。もっとくだけた言い方にすると ・元請として建築物を建築する工事  新築をイメージしますが、建物の増減築といった躯体をいじる様な工事も建築一式工事とみて問題ないでしょう。

      ②もしこの工事が建築一式工事であれば主任技術者の設置で良いと思いますが、2級施工管理技士でもこの主任技術者になれますか?
      ⇒この内装仕上工事業を元請として受注し、下請けに4000万円以上請け負わせる場合は特定許可が必要です。その場合は現場には監理技術者を配置、2級建築施工管理技士ではなれません。

      2級施工管理技士だと主任技術者になれても請負金額の上限等あるのですか?
      ⇒一般許可でも特定許可でも工事の請負金額に上限はありません。下請け金額に制限があるか無いかの違いです。

    • 2023年 5月 31日

    一般の知事許可をもっている業者です。工事はすべて下請です。
    下請工事の請負金額が税込3500万円以上だと主任技術者を現場ごとに専任で配置しなければならないとのことですが、このたび税込7500万円ほどの下請工事を受注します。
    この場合、現場に専任で配置する主任技術者は、監理技術者である必要はなく、実務経験者でもよいとの理解でよろしいでしょうか。
    また、経審を受ける予定ですが、現場に専任で配置していることが分かる書類が必要だとのうわさを聞きました。
    どのような書類が求められるのか教えていただけますでしょうか。

    お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。

      • office169
      • 2023年 6月 03日

      淳様 コメントありがとうございます。
      まずはお詫びですが、主任技術者および管理技術者で現場の専任が必要となる金額が、令和5年1月1日より3500万円から4000万円にアップしました。
      ブログ記事も早急に修正いたします。

      そのうえでご質問に回答いたします。

      下請工事の請負金額が税込3500万円以上だと主任技術者を現場ごとに専任で配置しなければならないとのことですが、このたび税込7500万円ほどの下請工事を受注します。この場合、現場に専任で配置する主任技術者は、監理技術者である必要はなく、実務経験者でもよいとの理解でよろしいでしょうか。

      淳様のおっしゃる通りです。
      監理技術者を現場に配置する必要があるのは、「自社が元請の場合で、さらに合計4500万円以上を下請け業者に発注する場合」となります。
      例として

    • 自社が元請で1億円の工事を受注しても、下請け業者に合計3500万円しか発注しなかったら主任技術者でOK(建築一式以外の場合)
    • 自社が元請で8000万円の工事を受注し、下請け業者に合計4600万円を発注したら監理技術者を配置(建築一式以外の場合)
    • 主任技術者でOKということは、実務経験10年以上の方でも問題ないということになります。1級施工管理技士でなくても大丈夫です。

      経審を受ける予定ですが、現場に専任で配置していることが分かる書類が必要だとのうわさを聞きました。
      どのような書類が求められるのか教えていただけますでしょうか。

      経審については、各都道府県や国により、審査の手順や添付書類などがかなり違ってきますので何とも言えません。
      愛知県の場合ですと、技術者が現場に専任で配置されていた証明書類は特に必要ありませんが。

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事務所代表

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安立 啓 1979年12月5日名古屋市生まれ
特技:水泳、魚3枚おろし
趣味:釣り、温泉、DIY

20代半ばから塗装職人として10年以上働いたのち行政書士資格を取得し独立。
今では行政書士事務所代表でありながら塗装業も経営するという業界でも異色の存在。
日本一職人さんの気持ちが分かる行政書士。
スーツが苦手で、お客様のところにも平気で作業着で伺います!

自己紹介:行政書士+塗装職人=ペンキ書士

メディア実績

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2016.11.16レディオNEOの”お仕事がんばりゃ~”に「行政書士とはどんなお仕事?」というテーマで出演いたしました。

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〒452-0803 名古屋市西区大野木五丁目72番地

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